日本小児アレルギー学会誌
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乳児気管支喘息の予後に関する検討
大谷 智子椎貝 典子下田 恵子島貫 金男
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キーワード: 乳児喘息, 予後, 治療, 関連因子
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1991 年 5 巻 2 号 p. 62-68

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抄録

最近, 増加しつつある乳児気管支喘息 (以下 乳児喘息) の予後の研究の多くは retrospective なものであり, prospective な報告は少ない. そこで著者らは乳児喘息の予後を prospective に調査すると共に, 予後に関連する因子について検討した.
対象は, 昭和47年より57年の間に九段坂病院小児科外来を受診し, 乳児喘息と診断された138例の患児のうちアンケート調査を行い回答を得た者93例である.
調査結果は, 緩解群 (無発作群) 29例 (31.2%), 略緩解群14例 (15.1%), 軽快群43例 (46.2%), 不変群7例 (7.5%) であり, 症状を有し治療を必要とする者が半数以上を占めた. また, 予後に関する諸因子をまとめると, IgEの高値, IgE-RASTのH. D., 牛乳, 特に卵白陽性は明らかに予後不良であり, 鼻汁中好酸球及び末梢血好酸球増多例も予後は悪い傾向にあった. 今回の調査の結果では乳児喘息の予後は楽観的ではないが, 早期に診断し適切な治療を早く開始することによって, 今後の予後成績の改善が期待される.

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