日本小児アレルギー学会誌
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モルモット気道平滑筋に対する Vasoactive Intestinal Peptide (VIP) の作用と気道上皮の役割に対する検討
浜崎 雄平小林 育子松本 重孝市丸 智浩宮崎 澄雄
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1993 年 7 巻 1 号 p. 28-33

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抄録

外因性VIPのモルモット気道平滑筋に対する作用を, Ach で前収縮させた平滑筋標本をもちいて検討し, イソプロテレノール, テオフィリンの作用と比較した. その作用が上皮傷害の有無により, いかなる影響を受けるかについても同時に検討した. 更に, 薬物投与の順序を変更し, VIPを前投与した時 Ach の濃度-収縮曲線がどうなるかをしらべることにより, 活性物質に対する気道上皮の役割について考察した.
(1) VIPはAch10-4Mで前収縮させた標本にたいして10-9, 10-8, 2.5×10-8Mで用量依存性に弛緩作用を示した. molar base で比較すると, テオフィリンよりもはるかに強力で, イソプロテレノールよりも更に強力であった.
(2) 上皮傷害によりこれらの物質による弛緩作用はすべて減弱した. 上皮から気道上皮由来性拡張物質が産生されており, 上皮傷害によりこれら薬物の拡張作用は減弱したためと考えられた.
(3) VIPを前投与した後, Ach の濃度-収縮曲線を検討したところ, (1) の結果とことなり, VIPの作用は明確ではなかった. VIPは時間の経過とともに, おそらくNEPの作用により, 分解され, その弛緩作用が低下することが推測された.

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