日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
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施設入院療法を受けた重症喘息児の換気機能の経年的推移および諸要因との関連について
渋谷 信治
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1993 年 7 巻 2 号 p. 45-52

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抄録
施設入院療法を受けた重症な喘息児42名 (男子22名, 女子20名), 年齢7~13歳を対象に, 非発作時の換気機能を3~10年追跡し以下の結論を得た. 1) FEV1.0%の年齢的推移は, 8~11歳頃に一時低下する者が多かったが, 11~12歳頃から上昇しはじめ, 15歳頃まで比較的着実に上昇する者が多かった. 2) 入院時にFEV1.0%が高い者ほど80%以上に改善しやすく, 入院時に70%以下の者は改善に限界があった. 3) 入院中に気道閉塞が中等度に強い群はアレルギーの関与が強かったが, 気道閉塞の最も強い群は, アレルギー家族歴とアトピー性皮膚炎の合併が少なく, 血清IgEの低い者が多かったので, 内因性喘息もしくはI型以外のアレルギーが関与している可能性が示唆された. 4) 非発作時の気道閉塞が強い重症喘息児には, 薬物療法の再検討のほか早期からの施設入院療法を含む総合的な治療法の適応が望まれる.
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