抄録
アスパラガスの地上部および地下部のアレロパシー活性を雌雄別に検出するために,雌性および雄性の被検定個体を用いて無菌的に生物検定を行った.無菌の擬葉を用いたサンドイッチ法でアレロパシー活性を検定したところ,擬葉の生重量が 30 mg を超えると検定植物の生長は大きく阻害された.同手法を用いて擬葉を雌雄別に検定した結果,アレロパシー活性には雌雄間差異が認められなかった.また,擬葉を成葉および枯葉から採取しても,それぞれの活性の程度と雌雄間に差は認められなかった.根系のアレロパシー活性を検出するために,雌性および雄性の再分化個体を用いてプラントボックス法による検定を行ったところ,検定植物の生長は著しく阻害された.雌雄性が明確な被検定植物を短期間で取得するために,試験管内で早期開花させた実生を活用して生物検定を行った.その結果,雌株および雄株に由来する再分化個体を用いた場合と同様のアレロパシー活性を検出した.以上のことから,アスパラガスの雌株と雄株のアレロパシー活性は同等であることが明らかとなり,さらに,検定植物と被検定植物の性表現を任意に選定することで,雌雄性によるアレロパシー活性の質的な影響を検定することが可能となった.今後は,この実験系を活用し,アスパラガスのアレロパシー物質を再現性よく単離・同定することが期待される.