西日本地方11県46,718名の小学児童を対象にアレルギー疾患罹患率を調査し, 次の結果を得た.
1. 罹患率は, アトピー性皮膚炎 (AD): 17.27%, アレルギー性鼻炎 (AR): 15.89%, アレルギー性結膜炎 (AC): 6.73%, 喘鳴 (W): 5.22%, 気管支喘息 (BA): 4.60%, スギ花粉症 (P): 3.63%であった. AD, AR, AC, BA, Pのいずれか1つ以上を有するものは31.27%で, その累積罹患率は45.47%であった.
2. 都市部に多く, ADを除き男子に多かった.
3. AR, AC, Pは年長者に多く, AD, Wは年少者に多く, BAは変わらなかった.
4. 乳児期栄養, 暖房, 冷房別では大きな差はなかった.
5. 家族歴 (父母, 同胞) でアレルギー疾患を有する者に罹患率が高かった.
6. これら小児のアレルギー疾患の高罹患率は複数の共通した原因が考えられ, 疾患定義を決めてのサーベイランスとともに, その増加の原因究明が急務であると考えられた.
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