日本小児アレルギー学会誌
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7 巻 , 2 号
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  • 渋谷 信治
    1993 年 7 巻 2 号 p. 45-52
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    施設入院療法を受けた重症な喘息児42名 (男子22名, 女子20名), 年齢7~13歳を対象に, 非発作時の換気機能を3~10年追跡し以下の結論を得た. 1) FEV1.0%の年齢的推移は, 8~11歳頃に一時低下する者が多かったが, 11~12歳頃から上昇しはじめ, 15歳頃まで比較的着実に上昇する者が多かった. 2) 入院時にFEV1.0%が高い者ほど80%以上に改善しやすく, 入院時に70%以下の者は改善に限界があった. 3) 入院中に気道閉塞が中等度に強い群はアレルギーの関与が強かったが, 気道閉塞の最も強い群は, アレルギー家族歴とアトピー性皮膚炎の合併が少なく, 血清IgEの低い者が多かったので, 内因性喘息もしくはI型以外のアレルギーが関与している可能性が示唆された. 4) 非発作時の気道閉塞が強い重症喘息児には, 薬物療法の再検討のほか早期からの施設入院療法を含む総合的な治療法の適応が望まれる.
  • 井上 寿茂, 土居 悟, 高松 勇, 村山 史秀, 亀田 誠, 林田 道昭, 豊島 協一郎
    1993 年 7 巻 2 号 p. 53-58
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    disodium cromoglycate (DSCG) が気道過敏性に及ぼす影響を検討するため、比較的発作回数の少ない気管支喘息児を対象に、D群 (DSCGを3カプセル/日吸入する群; 19例) とC群 (予防的薬物投与を行わない不投薬群; 19例) に分け、アセチルコリン吸入試験を、治療開始前、治療開始3カ月後 (D群10例、C群14例)、6カ月後 (D群7例、C群5例)、1年後 (D群15例、C群10例) に経時的に行った。アセチルコリン閾値は3カ月後にはD群、C群共有意な変動を示さなかったが、6カ月後には両群とも上昇傾向を示した。一年後にはD群は有意な上昇を示したが、C群では有意な変動は認めなかった。DSCG吸入により気道過敏性の改善を得るには長期間連用することが必要であることがわかった。また1年間の治療前後で末梢血好酸球数の変動をみると、D群でのみ有意に末梢血好酸球数が減少しており、DSCGが気道局所の好酸球動態に影響を与え、気道過敏性の改善に関与している可能性が考えられる。
  • 西日本小児気管支喘息研究会・罹患率調査研究班
    1993 年 7 巻 2 号 p. 59-72
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    西日本地方11県46,718名の小学児童を対象にアレルギー疾患罹患率を調査し, 次の結果を得た.
    1. 罹患率は, アトピー性皮膚炎 (AD): 17.27%, アレルギー性鼻炎 (AR): 15.89%, アレルギー性結膜炎 (AC): 6.73%, 喘鳴 (W): 5.22%, 気管支喘息 (BA): 4.60%, スギ花粉症 (P): 3.63%であった. AD, AR, AC, BA, Pのいずれか1つ以上を有するものは31.27%で, その累積罹患率は45.47%であった.
    2. 都市部に多く, ADを除き男子に多かった.
    3. AR, AC, Pは年長者に多く, AD, Wは年少者に多く, BAは変わらなかった.
    4. 乳児期栄養, 暖房, 冷房別では大きな差はなかった.
    5. 家族歴 (父母, 同胞) でアレルギー疾患を有する者に罹患率が高かった.
    6. これら小児のアレルギー疾患の高罹患率は複数の共通した原因が考えられ, 疾患定義を決めてのサーベイランスとともに, その増加の原因究明が急務であると考えられた.
  • 土井 まつ子, 近藤 かおる, 大山 みどり, 石黒 彩子, 渡辺 俊彦, 鳥居 新平, 山田 政功
    1993 年 7 巻 2 号 p. 73-79
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    EIBは, 運動によって誘発される気道閉塞性呼吸困難発作としてよく知られている現象であるが, その発症機序はまだ解明されていない. 本研究では, EIBの呼吸循環動態を明らかにすることを目的として, 11名の中等症気管支喘息児 (10歳から13歳) と7名の健康児 (7歳から17歳) を対象に, 自転車エルゴメーターによる運動負荷テストを実施し, 酸素摂取量と心拍数を測定した. その結果 (1) 12.7Kpm/60rpmの運動負荷によって, 気管支喘息児11名中, 6名がEIB陽性, 5名がEIB陰性であった. (2) 最大酸素摂取量に対する酸素摂取量の割合は, EIB陰性群は, EIB陽性群や健康児群に比べ低かった. (3) EIB陽性群は, 運動開始から最大心拍数に至るまでに要した時間が, EIB陰性群や健康児群に比べ延長していた. これらの結果は, EIB陽性群, EIB陰性群および健康児群の間で, 循環系における反応の相違があることを示しており, EIB発症における交感神経系の関与が示唆された.
  • 山口 公一, 増田 敬, 馬場 実, 荒井 康男
    1993 年 7 巻 2 号 p. 80-84
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    多種類の抗原により感作され, さらに化学調味料摂取により喘息発作と蕁麻疹が誘発され, Chinese restaurant syndrome を合併していると考えられた気管支喘息の症例を経験した. IgERASTで検索した食物抗原38種のうち37種がスコア2以上を示し, 臨床症状との陽性一致率は82%であった. 食物抗原による誘発症状はほとんどが即時型を呈した. 化学調味料負荷試験にて約15分後に喘息発作と蕁麻疹が誘発された. 化学調味料およびその主成分であるグルタミン酸ナトリウムによる皮膚試験や末梢血を用いたヒスタミン遊離試験では陰性であったが, 負荷前後で血中ガストリン値に変動がみとめられ, ガストリンによる皮膚試験で陽性反応がみとめられ, その発症機序としてガストリンを介するような非アレルギー的な機序が示唆された.
  • 竹内 浩一, 藪原 明彦, 中村 真一, 久保 徹夫, 川合 博, 宮川 幸昭, 小宮山 淳, 粟津原 宏子
    1993 年 7 巻 2 号 p. 85-93
    発行日: 1993/05/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当科を受診した喘息患児の各種抗原に対する陽性率を皮膚試験とRASTとを用いて検索し, 長野県地方の小児気管支喘息におけるアレルゲン感作状況を検討した. 皮膚試験陽性率は, ハウスダスト (HD) 64%, アルテルナリア17%, カンジダ5%, クラドスポリウム2%, カモガヤ36%, カナムグラ22%, 猫毛32%, 犬毛17%, ソバ13%, 卵白8%で, アルテルナリアを除いた真菌類で低く, 花粉類や猫毛で高い特徴を認めた. また, HDの陽性率は他地域より報告された成績と比較して低値であった. RAST陽性率の検討においても, これらの結果と同様の傾向がみられ, 特にカモガヤとネコ上皮の陽性率が高いのが注目された. また, カモガヤのRAST陽性率はアレルギー性鼻炎合併例で高値 (54%) を示したが, 喘息単独例でも32%であった. 以上の成績より, 当地方の喘息患児のアレルゲン感作状況には他地域と異なる特徴があることが示され, 自然環境や個人的生活環境が感作成立に強く関与していると推測された.
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