日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
長野県地方の小児気管支喘息におけるアレルゲン感作状況の検討
竹内 浩一藪原 明彦中村 真一久保 徹夫川合 博宮川 幸昭小宮山 淳粟津原 宏子
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 7 巻 2 号 p. 85-93

詳細
抄録
当科を受診した喘息患児の各種抗原に対する陽性率を皮膚試験とRASTとを用いて検索し, 長野県地方の小児気管支喘息におけるアレルゲン感作状況を検討した. 皮膚試験陽性率は, ハウスダスト (HD) 64%, アルテルナリア17%, カンジダ5%, クラドスポリウム2%, カモガヤ36%, カナムグラ22%, 猫毛32%, 犬毛17%, ソバ13%, 卵白8%で, アルテルナリアを除いた真菌類で低く, 花粉類や猫毛で高い特徴を認めた. また, HDの陽性率は他地域より報告された成績と比較して低値であった. RAST陽性率の検討においても, これらの結果と同様の傾向がみられ, 特にカモガヤとネコ上皮の陽性率が高いのが注目された. また, カモガヤのRAST陽性率はアレルギー性鼻炎合併例で高値 (54%) を示したが, 喘息単独例でも32%であった. 以上の成績より, 当地方の喘息患児のアレルゲン感作状況には他地域と異なる特徴があることが示され, 自然環境や個人的生活環境が感作成立に強く関与していると推測された.
著者関連情報
© 日本小児アレルギー学会
前の記事
feedback
Top