抄録
心臓神経堤細胞とは, 神経管の耳胞から体節3までのセグメントに起源し, 多分化能を有する細胞である. 間葉細胞として体の前後軸に対して分節的に移動し, 第III, IV, VI咽頭弓に分布して, 各咽頭弓動脈(胸部大動脈)の平滑筋に分化する. 流出路の発生には, 臓側中胚葉の二次心臓領域細胞と心臓神経堤細胞の相互作用が必要で, 二次心臓領域細胞は流出路心筋・平滑筋層を形成し, 流出路まで移動してきた心臓神経堤細胞は中隔を形成する. これら心臓前駆細胞の異常により, 心臓流出路異常のスペクトラムが生じる.