抄録
2005年に日本においてメタボリックシンドロームという新しい概念と診断基準が発表され, 内臓肥満とインスリン抵抗性の重要性が俄かにクローズアップされた. それまで肥満を治療・研究することは, 内科においても小児科においても循環器医療の中ではminorな, 放置してよいカテゴリーであったと思っている. 特に小児科領域ではデータが少なく, 私たちはデータに基づかない個人的な経験, 情報で教育され, また伝達していたように思う. 私が長い間教えられてきた次の命題は現在の日本人小児にあてはまるのだろうか.
1. 小児期の肥満は増え続けている
2. 小学校に行けば肥満はなくなる
3. 軽度肥満なら心配することはない
4. 子どもの肥満は母親との関係が強い
5. 子どものメタボは気にするほどではない
6. 成人だけでなく小児期・思春期の肥満の治療は難しい
最近発表されたエビデンスに基づいて小児の肥満, メタボリックシンドロームの現状と対策を考えてみたい.