日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
左上大静脈左房還流と左房内異常隔壁を合併した不完全型房室中隔欠損症の1例
小野 隆志森島 重弘中澤 誠工藤 恵道
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2013 年 29 巻 5 号 p. 254-259

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抄録
冠静脈洞と左房間の全隔壁が欠損するcompletely unroofed coronary sinusと左上大静脈遺残(PLSVC:persistent left superior vena cava)が合併する場合は,左上大静脈左房還流となる.この疾患が内臓心房正位に存在することは稀であるが,今回われわれは,左上大静脈左房還流と三心房心様の左房内異常隔壁を合併した不完全型房室中隔欠損症の内臓心房正位症例に対して修復術を施行した.症例は5歳女児.出生後早期に,不完全型房室中隔欠損症,三心房心,PLSVCと診断されていたが,チアノーゼの増悪や心不全なく無投薬で外来フォローアップされていた.心エコー検査上,左側房室弁閉鎖不全症(LAVVR:left atrioventricular valve regurgitation)が増強してきたため,手術を前提に入院精査した.Multidetector computed tomography(MDCT)と心臓カテーテル検査により,左上大静脈左房還流と三心房心様の左房内異常隔壁を合併した不完全型房室中隔欠損症と診断され,同時手術を施行した.心房内血流転換による左肺静脈還流障害の発生を危惧し左上大静脈は自己組織を使用しての心外ルート再建とした.
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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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