2014 年 30 巻 1 号 p. 22-29
背景:小児期の心房中隔欠損症(atrial septal defect;ASD)は一般的に無症状で,心電図変化を認めない例も多い.ASD診断の心電図指標としてのcrochetageの有用性を検討した.
方法:ASDの小児151例におけるcrochetageの頻度を年齢群別に検討し,さらに対照群と比較した.また肺体血流比とcrochetageの関係性を検討した.
結果:CrochetageをⅡ,Ⅲ,aVF誘導のすべてに認める場合の感度と特異度は,対照群に対してはそれぞれ11.3%,100%であった.年齢群別の検討では特に10歳以上の年長児にcrochetageをより高率に認めた.ASD群においてQp/Qs>3.0の症例ではQp/Qs≦1.5の症例よりcrochetageを有意に多く認めた(p=0.003).
結論:Crochetageは正常群に対する特異度も高く,ASD群のうち左右シャント量が多い重症例または年長児例ではcrochetageを認める頻度が高いため,小児期においてcrochetageはASD診断の有用な心電図指標になると考えられた.