日本小児循環器学会雑誌
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小児期PAH の心臓カテーテル検査における安全性
松裏 裕行
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2014 年 30 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

小児期の肺動脈性肺高血圧症(PAH)における心臓カテーテル検査(心カテ)は,重症度評価と予後予測,治療薬の選択や治療効果判定において極めて重要な役割を担う.しかし疼痛や啼泣,カテーテル操作,薬剤負荷試験などを契機に肺高血圧クリーゼ,迷走神経反射,呼吸抑制,喀血などが惹起されると死亡を含む重篤な合併症が生じうる.NYHA4度の最重症例は特にリスクが高く,また肺動脈造影は禁忌である.成人期PAH7,218例の心カテでは死亡4例を含む重篤な合併症が76件1.1%に発生し,小児期PAH270例(平均年齢15.0±7.6歳)では軽微なものも含め29例10.7%に合併症が生じ,うち1例で心原性ショックにより蘇生処置を必要としたなどの報告がある.事故防止には熟練した術者と医師を中心とした介助者の配置,カテコラミン投与量の事前計算とシリンジポンプの常備,救急備品の確認,移動の際の酸素投与とモニタリングなど十分な配慮と細心の注意が求められる.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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