抄録
小児,成人と年齢を問わず,精神,肉体の成長発達とその維持,さらには疾病予防の観点から適切な身体運動は欠かせない生活行動である.しかし,心疾患を有する患者では運動は時に命に関わる重大な事故につながる場合があり,運動関連のリスク評価は小児および成人循環器医にとって心疾患小児や成人の生活管理上極めて重要である.運動負荷試験はこの観点から運動関連のリスク評価に極めて有益な情報を提供すると同時に被験者の病態把握や重症度評価にも有用な検査法の一つである.したがって,運動負荷試験,特に呼気ガス分析を併用した心肺運動負荷試験(cardiopulmonary exercise testing:CPX)は,その実施法や解析法の簡便化もあり,今後,その臨床現場での有用性に加え,臨床研究でも一定の重要な役割を担うことが期待される.しかしながら,実際の運動負荷試験は,特に小児において一定のリスクを有することから,安全かつ適切に実施されることが要求される.すなわち,この試験に精通し,適用,評価,患者への還元を適切に行うことが可能であることが要求される.これらをふまえ,今回は特に小児心疾患患者におけるCPXを含めた運動負荷試験を中心に,その実施概要とCPXより得られる心肺指標について簡単に概説する.