日本小児循環器学会雑誌
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原著
小,中学生の先天性心疾患患児の疾患理解―患児の「年齢」と疾患の「重症度」による疾患理解の比較―
久保 瑶子中島 弘道中澤 潤
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2015 年 31 巻 1-2 号 p. 52-60

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抄録

背景:成人科への移行に向けて,幼い頃から患児本人が疾患を理解することは重要であるが,患児の疾患理解についてはよく検討されていない.患児の「年齢」や疾患の「重症度」による疾患理解の特徴を比較した.
方法:A県内の小児専門病院循環器科に通院中の小学1年生から中学3年生の先天性心疾患患児28名を対象に,半構造化面接を行った.
結果:運動制限,薬の頻度・効果,感染性心内膜炎の予防の理解は,患児の「年齢」や疾患の「重症度」による差が見られなかった.しかし,病名,薬の名称,受診の理由,次回の受診日の理解では,患児の「年齢」による差が見られ,年齢が上がると共に,理解している患児が増加し,薬の管理の主体は「親」から「患児」へと移行していた.心臓の欠陥の理解では,疾患の「重症度」による差が見られ,軽度の患児の方が具体的に理解していた.
結論:医療者は,患児に疾患説明を行う際,認知的な発達段階や疾患の構造の複雑さを考慮して説明を行うことが重要である.

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© 2015 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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