日本小児循環器学会雑誌
Online ISSN : 2187-2988
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31 巻, 1-2 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
巻頭言
教育セミナー
  • 鎌田 政博
    2015 年 31 巻 1-2 号 p. 3
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 吉松 淳
    2015 年 31 巻 1-2 号 p. 4-8
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    胎児診断には超音波検査が大きな役割を果たすが,検査の目的は行う時期によって異なる.胎児心臓超音波検査は形態の評価として“スクリーニング”と“診断”との2段階に分けて行われる.胎児超音波検査は単に病名を診断することにとどまらず,胎内での血行動態の評価から分娩後の血行動態の予測,心機能の評価,さらに心外病変の有無など多岐にわたる.その所見で胎内での状態を評価し,出生後の状態を予測する.いくつかの報告では,このような出生前の診断は必ずしも予後の向上につながっていない.今後さらに精度の高い“スクリーニング”と“診断”を実現し,予後の向上を図る必要がある.胎児治療においては,適応のみならず,治療開始および終了の決定なども厳格に行われなくてはならない.
  • 北野 正尚
    2015 年 31 巻 1-2 号 p. 9-19
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    ロープロファイルな治療器具が開発されたことで,新生児においても様々なカテーテル治療が施行されるようになった.本稿では,1. 通常の心房中隔裂開術が困難な場合のその方法,2. 長期経過から再検討した心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖に対するカテーテル的弁形成術,3. 左心低形成症候群における安全な動脈管ステント留置術の3項目に関して,臨床の場で役立つように解説した.新生児のカテーテル治療は外科治療よりも低侵襲で遂行できるが,重篤な合併症が起こりえるので,その合併症と対応策を熟知してから治療に臨む必要がある.
  • 松井 彦郎
    2015 年 31 巻 1-2 号 p. 20-24
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    新生児期の重症先天性心疾患を適切に管理することは,小児医療向上の重要な課題の一つである.循環管理には心収縮力・前負荷・後負荷・心拍数に規定される心拍出量と,流出路大血管形態・血管抵抗に規定される肺体血流バランス,合わせて6要素を評価しながら行う必要がある.新生児期の循環管理では,肺血流増加によるショックを事前に予防し,安定した循環動態で手術につなげることが主たる目的であり,血行動態変化を事前に予測して管理し,循環管理には速やかな集中治療を導入することが必要とされる.周産期の重症先天性疾患は,疾病による循環異常だけでなく,周産期特有の全身生理の理解と外科的治療選択の判断が必要となり,総合的に全身管理を施行することが重要である.新生児期の重症先天性心疾患の術前管理にゴールデンマニュアルはない.正確な血行動態の評価のもと適切に管理を行い,安定した血行動態で外科的治療にのぞむことが重要である.
  • 大嶋 義博
    2015 年 31 巻 1-2 号 p. 25-29
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    姑息手術の多くは,肺血流調整を目的に行われ,特に肺血管抵抗の高い新生児期に適応される.修復術が低年齢化し,早期の一期的修復術が進んだ現在でも,体・肺動脈短絡術,肺動脈絞扼術の適応が見直され,かつ多様化している.体外循環を用いた修復術や姑息術がより安全に行われるようになった一方で,新生児期の体外循環を回避し,周術期,遠隔成績のさらなる成績向上のため,両側肺動脈絞扼術のように復活した術式もある.肺血管抵抗が変動する周術期に,いかに適切な肺血流調整が行えるかが重要となる.肺動脈絞扼術においては,なるべく正中切開アプローチを選択し,術中心表面エコーを用いて,適切な肺動脈絞扼部位や絞扼度の決定を行う.体肺動脈短絡術の周術期管理では,複雑な病態把握が必要である.特に単心室の血行動態を理解し,動脈血酸素飽和度に加え,混合静脈血酸素飽和度や近赤外光法など,様々な方法で体・肺血流バランスをモニターすることが重要である.
Reviews
原著
  • 久保 瑶子, 中島 弘道, 中澤 潤
    2015 年 31 巻 1-2 号 p. 52-60
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:成人科への移行に向けて,幼い頃から患児本人が疾患を理解することは重要であるが,患児の疾患理解についてはよく検討されていない.患児の「年齢」や疾患の「重症度」による疾患理解の特徴を比較した.
    方法:A県内の小児専門病院循環器科に通院中の小学1年生から中学3年生の先天性心疾患患児28名を対象に,半構造化面接を行った.
    結果:運動制限,薬の頻度・効果,感染性心内膜炎の予防の理解は,患児の「年齢」や疾患の「重症度」による差が見られなかった.しかし,病名,薬の名称,受診の理由,次回の受診日の理解では,患児の「年齢」による差が見られ,年齢が上がると共に,理解している患児が増加し,薬の管理の主体は「親」から「患児」へと移行していた.心臓の欠陥の理解では,疾患の「重症度」による差が見られ,軽度の患児の方が具体的に理解していた.
    結論:医療者は,患児に疾患説明を行う際,認知的な発達段階や疾患の構造の複雑さを考慮して説明を行うことが重要である.
症例報告
  • 近田 正英, 小野 裕國, 宮入 剛, 鈴木 寛俊, 嵯峨根 正展, 北 翔太, 都築 慶光, 麻生 健太郎
    2015 年 31 巻 1-2 号 p. 64-67
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    悪性高熱症は,揮発性吸入麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬が誘因と考えられ,周術期における致命的合併症の一つとされている.我々は,最近小児開心術症例で術後劇症悪性高熱症を経験したので,文献的考察をふまえて報告する.症例は11ヶ月男児,診断は心室中隔欠損症,Down症候群である.生後21日,肺動脈絞扼術と動脈管結紮術を施行した.今回根治術として,心室中隔欠損パッチ閉鎖と肺動脈絞扼解除を施行した.術後より40度の高熱が持続したが,循環動態は安定していた.第2病日に急激に右心不全を呈し,胸骨開放で小康をえた.第3病日に42度まで体温が上昇しCPKなどの上昇が認められ悪性高熱症と高度に疑い,ダントロレンの投与を開始し,マットを使用して体温調節を行った.第4病日より解熱傾向となり,特に後遺症を残さず救命できた.悪性高熱は,麻酔中の最高体温と麻酔中体温上昇速度を指標に劇症型と亜型に分けられ,さらに麻酔後に症状が起こる術後型に分類されている.本症例は,術後劇症悪性高熱症と考えられた.術後悪性高熱は,現在でも死亡率が12.2%と高く,心臓手術後の周術期管理で注意が必要である.
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