抄録
胎児診断には超音波検査が大きな役割を果たすが,検査の目的は行う時期によって異なる.胎児心臓超音波検査は形態の評価として“スクリーニング”と“診断”との2段階に分けて行われる.胎児超音波検査は単に病名を診断することにとどまらず,胎内での血行動態の評価から分娩後の血行動態の予測,心機能の評価,さらに心外病変の有無など多岐にわたる.その所見で胎内での状態を評価し,出生後の状態を予測する.いくつかの報告では,このような出生前の診断は必ずしも予後の向上につながっていない.今後さらに精度の高い“スクリーニング”と“診断”を実現し,予後の向上を図る必要がある.胎児治療においては,適応のみならず,治療開始および終了の決定なども厳格に行われなくてはならない.