日本小児循環器学会雑誌
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原著
2.5 kg以下の新生児・乳児における体外循環非使用肺動脈絞扼術の転帰と問題点
中嶋 智美平松 祐司金本 真也阿部 正一榊原 謙
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2015 年 31 巻 3 号 p. 111-116

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抄録

背景:先天性心疾患を有する低体重児において内科的治療の継続が困難な場合,体外循環を使用しない姑息術が選択されることが少なくない.しかしながら,低体重児の体外循環非使用姑息術の適応や手技について定まった指針はない.過去10年間の2.5 kg以下の低体重児に対する姑息術を振り返り,肺動脈絞扼術(PAB)の調節方法を再確認し,その経過と転帰とを検証した.
方法:2003年11月から2013年7月までに,初回手術として体外循環を使用せずにPABを行った体重2.5 kg以下の先天性心疾患11例(日齢6~78,体重1.1~2.5 kg)を対象として後方視的調査を行った.主肺動脈絞扼術(main PAB)9例,分枝肺動脈絞扼術(branch PAB)2例であった.
結果:1例が非心臓死した.生存10例中9例が平均体重4.6 kgで第二期手術に到達し,8例が最終修復を完了した.main PABの1例で心室容量負荷を来した.main PAB時の平均肺体動脈血圧比(Pp/Ps)は0.54,絞扼周径は体重(kg)+18.2 mmで概ねTruslerの基準以下であった.計3枝のbranch PABの平均周径は体重(kg)+8.0 mmであった.
結論:低体重児に対するPABは概ね良好な体重増加,高い第二期手術到達率および低い死亡率をもたらしたが,今後多施設の経験を蓄積した上での手技および管理指針の標準化が望まれる.

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© 2015 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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