日本小児循環器学会雑誌
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31 巻 , 3 号
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巻頭言
Reviews
  • 藤田 靖之, 木下 愼, 川本 篤彦
    2015 年 31 巻 3 号 p. 80-87
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2015/06/06
    ジャーナル オープンアクセス
    CD34は様々な体性幹細胞の表面マーカであり,骨髄由来の造血幹細胞/血管内皮前駆細胞,骨格筋衛星細胞,毛包幹細胞,脂肪組織間葉系幹細胞などに発現している.骨髄または顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony stimulating factor: GCSF)動員CD34陽性細胞を用いた血管再生療法は,慢性重症下肢虚血,治療抵抗性狭心症,急性心筋梗塞,拡張型心筋症など様々な心血管疾患患者を対象に開始され,高い安全性と良好な初期成績が報告されている.当研究グループでは,慢性重症下肢虚血患者に対する第I/II相,第II相臨床試験を終え,現在第III相試験の準備中である.最近では,心血管疾患以外に,肝硬変や難治性骨折など,その病態に局所の血流障害が関与する疾病に対しても,GCSF動員CD34陽性細胞移植治療が行われ,良好な初期成績が示されている.
    本総説では,骨髄由来CD34陽性細胞を用いた血管再生治療について,前臨床試験および初期臨床試験の成績を紹介し,将来の展望についても言及する.
  • 関根 秀一, 清水 達也
    2015 年 31 巻 3 号 p. 88-94
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2015/06/06
    ジャーナル オープンアクセス
    先天性心疾患や虚血性心疾患,拡張型心筋症に伴う重症心不全に対しては,脳死患者からの心臓移植が最終的な治療法となっているが,ドナー不足が大きな問題となっている.また左室補助装置や植込み型人工心臓の使用は,感染や血栓形成などの問題があり長期的な生命維持は困難なのが現状である.そこで近年新たな治療法として再生医療が注目され,これまでに自己筋芽細胞や骨髄由来細胞,あるいは心臓幹細胞を不全心筋組織内へ注入することにより心筋組織を再生させる細胞移植療法がすでに臨床応用されている.しかし,細胞懸濁液注射による治療は移植片の大きさや移植位置の制御の困難さ,移植部からの流出や壊死による細胞の損失が大きな問題となっている.これらの問題を解決するために生体外で細胞を組織化し再生組織として機能不全部位に移植するというティッシュエンジニアリング手法を用いた研究が積極的に進められている.我々は細胞シート工学の技術を用い細胞シートを積層化することによりパッチ状の機能的心筋組織を再生し心筋梗塞部へ移植することで心機能が改善することを示してきた.また次世代の心筋再生医療を目指し補助ポンプとなりうる管心筋組織の作製に取り組んでいる.
  • 立野 滋
    2015 年 31 巻 3 号 p. 95-101
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2015/06/06
    ジャーナル オープンアクセス
    チアノーゼとは皮膚・粘膜の青紫色変化で,中枢性ないし末梢性チアノーゼでは毛細血管内血液の還元ヘモグロビン濃度が5 g/dl以上になると出現し,血液性チアノーゼでは異常ヘモグロビン血症が原因となる.チアノーゼの出現に際しては,様々な要素に影響されるため,必ずしも低酸素血症と同義ではない.チアノーゼが長期間持続するチアノーゼ性心疾患やアイゼンメンゲル症候群では,種々の全身合併症が発生するため,適切な管理が必要となる.
原著
  • 山内 早苗, 川田 博昭, 盤井 成光, 小森 元貴, 富永 佑児, 萱谷 太, 稲村 昇, 岸本 英文
    2015 年 31 巻 3 号 p. 102-107
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2015/06/06
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:左心低形成症候群(HLHS)に対し,我々は,2004年以降,両側肺動脈絞扼術(BPAB)を先行し,生後3ヶ月でNorwood手術(NW)と両方向性Glenn手術(BDG)を行ってきたが,2012年以降はBPAB後1ヶ月でNWと右室肺動脈シャント手術(RV–PA shunt)を行う方針に変更した.目的は,この治療方針の妥当性を検討すること.
    対象と方法:2004年1月から2013年12月までに当院でNWを行ったHLHS患者(類似疾患を含む)28例を対象とし,NW+BDG群(G群)22例とNW+RV–PA shunt群(S群)6例とで,手術成績を比較検討した.
    結果:NW時,G群では8例(36.3%)に肺動脈形成を行い,術後急性期の肺動脈バルーン拡張術(PTPA)を20例(91.0%)に要し,病院死亡3例,BDG不成立2例(1例は病院死亡症例と同一症例),術後脳梗塞1例を認めたが,S群ではNW時の肺動脈形成や急性期PTPAを要した症例はなく,生後6~13(中央値7)ヶ月でBDGを行った.BDG時に肺動脈形成を要したのは1例のみで,術後の上大静脈(SVC)圧もG群より有意に低く,急性期PTPAも要さなかった.
    結論:BPAB後1ヶ月でのNW+RV–PA shunt術は,PTPAの回避と,BDG後のSVC圧を低く保つことができ,手術成績が向上すると考えられた.
  • 中嶋 智美, 平松 祐司, 金本 真也, 阿部 正一, 榊原 謙
    2015 年 31 巻 3 号 p. 111-116
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2015/06/06
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:先天性心疾患を有する低体重児において内科的治療の継続が困難な場合,体外循環を使用しない姑息術が選択されることが少なくない.しかしながら,低体重児の体外循環非使用姑息術の適応や手技について定まった指針はない.過去10年間の2.5 kg以下の低体重児に対する姑息術を振り返り,肺動脈絞扼術(PAB)の調節方法を再確認し,その経過と転帰とを検証した.
    方法:2003年11月から2013年7月までに,初回手術として体外循環を使用せずにPABを行った体重2.5 kg以下の先天性心疾患11例(日齢6~78,体重1.1~2.5 kg)を対象として後方視的調査を行った.主肺動脈絞扼術(main PAB)9例,分枝肺動脈絞扼術(branch PAB)2例であった.
    結果:1例が非心臓死した.生存10例中9例が平均体重4.6 kgで第二期手術に到達し,8例が最終修復を完了した.main PABの1例で心室容量負荷を来した.main PAB時の平均肺体動脈血圧比(Pp/Ps)は0.54,絞扼周径は体重(kg)+18.2 mmで概ねTruslerの基準以下であった.計3枝のbranch PABの平均周径は体重(kg)+8.0 mmであった.
    結論:低体重児に対するPABは概ね良好な体重増加,高い第二期手術到達率および低い死亡率をもたらしたが,今後多施設の経験を蓄積した上での手技および管理指針の標準化が望まれる.
  • 山内 早苗, 川田 博昭, 盤井 成光, 上仲 永純, 荒木 幹太, 萱谷 太, 稲村 昇, 岸本 英文
    2015 年 31 巻 3 号 p. 119-123
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2015/06/06
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:完全型房室中隔欠損(CAVSD)修復術後,再手術の最大のリスクファクターとなる左側房室弁逆流(LAVVR)を防ぐため,われわれは,心室中隔欠損(VSD)閉鎖のパッチ幅を造影検査の正常三尖弁輪径(31.1×BSA0.56)+4 mmとしている.今回その手術成績を検討した.
    方法:1995年1月から2011年12月までに当院でCAVSD修復術を行った27例を対象とし,手術成績を後方視検討した.
    結果:術後観察期間は最長18.5年(中央値8.2年)で,早期死亡は1例(肺梗塞),遠隔死亡は1例(特発性肺静脈狭窄)であった.心臓超音波検査による退院時のLAVVRはmild以下24例,moderate 2例で,左側房室弁狭窄を呈した症例はなかった.中期遠隔期のLAVVRは,mild以下23例,moderate 3例で,severe LAVVRとなった症例はなく,心機能も保たれた.房室弁逆流に対する再手術を1例に行ったが,弁置換を要した症例はなく,再手術回避率は5年,10年,15年96.2%であった.
    結論:VSDパッチ幅を正常三尖弁輪径+4 mmに基準化したCAVSD修復術は中期遠隔期においても重度の弁逆流を呈さず,成績は良好であった.
  • 田原 昌博, 真田 和哉, 新田 哲也, 下薗 彩子, 山田 和紀
    2015 年 31 巻 3 号 p. 126-132
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2015/06/06
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:18トリソミーの主な死因には心疾患に伴う肺出血や心不全,無呼吸などがある.
    方法:高肺血流性心疾患に対して心臓手術を行った18トリソミー19人を対象に,予後を再評価し管理の参考にする目的で肺生検組織所見,経過について後方視的に検討した.
    結果:日齢40.8±13.0日に肺動脈絞扼術(PAB)と肺生検を施行.肺小動脈形成不全(MD)4例(21.1%)・低形成(HPA)7例(36.8%),肺胞低形成(AH)12例(63.2%)は過去の18トリソミー以外での報告より多かった.痙攣11例.抜管した17例中閉塞性無呼吸14例.死亡6例(突然死1例,痙攣重積2例,心臓関連死(CRD)3例).PAB施行日齢とCRD, AHと術後挿管期間との間に相関を認めた.
    結論:18トリソミーではMDやHPA, AHが多く,心臓関連以外にも生命予後に関わるリスクが多い.心臓手術が長期予後改善に結びつくかは不明だが,積極的治療希望の場合は,長期の人工呼吸管理を避け,生後早期に高肺血流に対するPABを行うべきである.
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