抄録
背景:18トリソミーの主な死因には心疾患に伴う肺出血や心不全,無呼吸などがある.
方法:高肺血流性心疾患に対して心臓手術を行った18トリソミー19人を対象に,予後を再評価し管理の参考にする目的で肺生検組織所見,経過について後方視的に検討した.
結果:日齢40.8±13.0日に肺動脈絞扼術(PAB)と肺生検を施行.肺小動脈形成不全(MD)4例(21.1%)・低形成(HPA)7例(36.8%),肺胞低形成(AH)12例(63.2%)は過去の18トリソミー以外での報告より多かった.痙攣11例.抜管した17例中閉塞性無呼吸14例.死亡6例(突然死1例,痙攣重積2例,心臓関連死(CRD)3例).PAB施行日齢とCRD, AHと術後挿管期間との間に相関を認めた.
結論:18トリソミーではMDやHPA, AHが多く,心臓関連以外にも生命予後に関わるリスクが多い.心臓手術が長期予後改善に結びつくかは不明だが,積極的治療希望の場合は,長期の人工呼吸管理を避け,生後早期に高肺血流に対するPABを行うべきである.