日本小児循環器学会雑誌
Online ISSN : 2187-2988
Print ISSN : 0911-1794
ISSN-L : 0911-1794
31 巻 , 5 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
巻頭言
原著
  • 田中 裕治
    専門分野: Original
    2015 年 31 巻 5 号 p. 229-237
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/12/04
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:従来フォンタン術後患者に血栓塞栓予防目的で抗凝固,抗血小板治療が行われているが,薬剤使用にあたっての基準が存在しない.
    目的:抗凝固,抗血小板治療の現状を把握し,フォロー中に梗塞,出血のイベントを起こした患者の特徴を調べること.
    方法:1998~2012年に当科にて外来フォローしたフォンタン術後患者49名を後方視的に検討した.性別は男性34名,女性15名,平均年齢16.3±7.7歳,TCPC手術時年齢4.5±3.7歳,平均術後経過59.1±45ヶ月であった.
    結果:ワーファリンは全員,アスピリンは48名が内服していた.梗塞例は脳梗塞3名,腎梗塞1名に認めたが,幸い早期治療で後遺症なく治癒していた.出血例は肺出血3名中1名が死亡,消化管出血を3名で6回経験,5回は緊急輸血が必要であった.他に皮下出血,肉眼的血尿,卵巣出血,過多月経があり,出血イベント時の平均PT-INRは1.9±0.5であった.各々でアスピリン中止やワーファリン減量で対処されていた.
    結論:アスピリン,ワーファリン併用が良好なフォンタン循環を保つのかどうかを含め,今後根拠に基づく戦略が必要である.ただし治療にあたっては,出血合併症へ最大限の配慮をして個別に薬物選択を検討しなければならない.
  • 阿部 百合子, 鮎沢 衛, 加藤 雅崇, 渡邉 拓史, 趙 麻美, 小森 暁子, 大熊 洋美, 市川 理恵, 神山 浩, 住友 直方, 伊東 ...
    専門分野: Original
    2015 年 31 巻 5 号 p. 240-245
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/12/04
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:肥大型心筋症(HCM)は学校管理下突然死の主要な原因の一つであるが,救急蘇生による救命例が報告され始め,予後が改善している可能性が予想される.
    方法:2004年から2011年に学校災害共済給付制度に報告された心事故例中,原因がHCMと判断された例を検討した.
    結果:調査期間中,HCMが原因の突然死は29例,蘇生後生存例は15例あった.生存例中,ICD埋込後1例を除く14例でAEDが使用された.死亡,生存例ともに男子が多かった.死亡例では幼稚園生や小学生を認めたが,生存例は中学・高校生のみであった.死亡例の48%,生存例の20%が事前にHCMと診断されていた.心事故は死亡,生存例とも運動中に多かった.
    結論:非医療従事者によるAEDの使用が普及し,2007年以降はHCMによる学校管理下心停止の救命事例が報告され始めた.心臓系突然死予防のため,さらなるAED普及とICD適応の検討が重要と考えらえる.
  • 小泉 敬一, 勝又 庸行, 星合 美奈子, 戸田 孝子, 喜瀬 広亮, 長谷部 洋平, 森口 武史, 松田 兼一, 杉田 完爾
    専門分野: Original
    2015 年 31 巻 5 号 p. 246-253
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/12/04
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:当施設で施行した重症川崎病に対する持続的血液濾過透析併用緩徐血漿交換療法(SPE+CHDF)の有用性と安全性について報告する.
    方法:当施設でIVIG不応性重症川崎病に対してSPE+CHDFを施行した12例を後方視的に検討する.
    結果:SPE+CHDFを12例13コース施行した.SPE+CHDF施行前の心機能検査所見は,ANP値,BNP値,心胸郭比がすべて高値であった.SPE+CHDF施行前と比較した施行1時間後,3時間後の心拍数の変化率,収縮期血圧の変化率は共に有意差はなかった.SPE+CHDFを施行中に,強心剤の使用例や血管内カテーテル感染,人工呼吸器関連肺炎合併例はなかった.全例でSPE+CHDF開始後1~4日(中央値1日)で解熱した.SPE+CHDF施行前に冠動脈病変を認めた7例は,1年以内に全例で退縮した.
    結論:重症川崎病には血漿交換療法(PE)が有効である.しかし,重症川崎病は循環動態不良例が多く含まれている.このため,重症川崎病に対して安全にPEを行うためには,SPE+CHDFが有用な方法の一つである.
  • 江原 英治, 村上 洋介, 中村 香絵, 佐々木 赳, 藤野 光洋, 川崎 有希, 吉田 修一朗, 吉田 葉子, 鈴木 嗣敏, 渡邊 卓次, ...
    専門分野: Original
    2015 年 31 巻 5 号 p. 254-264
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/12/04
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:18トリソミーでは先天性心疾患を高率に合併するが,その生命予後から従来は積極的な治療は行われてこなかった.
    目的:先天性心疾患に対して手術介入を行った18トリソミーにおいて,心不全症状の改善や在宅移行への効果および予後を検証すること.
    対象と方法:対象は1994年から2012年までに当院で治療した18トリソミー46例.このうち,先天性心疾患に対して手術介入を行ったのは16例で,14例はNICU入院中に在宅移行を目的に姑息術を行い(A群),2例は手術介入なしで退院後,心内修復術を行った(B群).手術介入を行わなかったのは30例(C群).A群,B群の心疾患の内訳,手術術式や成績,在宅移行率,退院後の予後を検討した.また在宅移行率,生命予後については,C群と比較検討を行った.
    結果:A群14例で,周術期死亡はなかった.全例で術後心不全症状の改善が得られ,10例(71%)は在宅移行した.退院時,経腸栄養は全例で確立されており,在宅人工呼吸管理を要した例はなかった.在宅移行できた10例中3例は現在生存中であるが,残り7例は,退院後呼吸器感染等を契機に死亡した.A群の在宅移行率は71%,C群は23%であった.経時的生存率はA群では生後1, 3, 6, 12ヶ月で100, 86, 71, 29%,C群では47, 37, 13, 3%であった.生存期間の中央値は,非手術例(C群)で24日に対し手術例(A群)で234日であった.B群2例(心室中隔欠損+肺動脈弁狭窄,心室中隔欠損)は生後7, 5ヶ月に心内修復術を行い経過良好で,明らかな肺高血圧の所見もない.
    結論:心疾患以外の重大な合併疾患のない18トリソミーでは,心疾患の姑息術により在宅移行率の向上が見られた.心内修復術を行った例では,心不全症状の改善が得られ,比較的長期生存の可能性も示唆された.18トリソミーの心疾患に対する手術介入は,症例によっては治療の選択肢となりうる.家族との十分な話し合いのうえ,手術介入を含め,個々の症例の状況に応じた対応を行うことが重要である.
症例報告
  • 菅本 健司, 藤本 義隆, 斎藤 千徳, 菱谷 隆, 星野 健司, 小川 潔, 保科 俊之, 山本 裕介, 篠原 玄, 野村 耕司
    専門分野: Case Report
    2015 年 31 巻 5 号 p. 271-277
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/12/04
    ジャーナル オープンアクセス
    感染性動脈瘤は破裂の可能性が高く,敗血症を合併することが多いため重篤な病態である.今回,先天性心疾患術後のMRSA縦隔炎に合併した感染性腕頭動脈瘤の乳児例を経験した.縦隔炎再燃の際に胸部造影CTで腕頭動脈瘤が判明した.動脈瘤が腕頭動脈を後方に圧排し,気管圧迫も認めていた.動脈瘤破裂の危険もあり準緊急でカバードステント留置を行った.カバードステントはバルーン拡張型の金属ステントにePTFEシートをロール状に縫着し作成した.右内頸動脈から計2個のカバードステントを留置し,動脈瘤は消失し気管圧迫も改善した.長期にわたる抗MRSA薬の併用で縦隔炎も寛解した.手技の合併症として右ホルネル徴候を術後に認めた.破裂の危険が迫る感染性動脈瘤に対してのカバードステント留置は治療の選択肢の一つとなりうる.
  • 佐藤 智幸, 南 孝臣, 古井 貞浩, 岡 健介, 横溝 亜希子, 松原 大輔, 片岡 功一, 山形 崇倫, 前川 慶之, 宮原 義典, 河 ...
    専門分野: Case Report
    2015 年 31 巻 5 号 p. 278-281
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/12/04
    ジャーナル オープンアクセス
    Crossed pulmonary arteries(CPAs)は,左肺動脈が右肺動脈の右上方より起始する稀な肺動脈奇形である.CPAs自体は通常無症状で,合併する心奇形の周術期にも問題となることは少ない.今回,大動脈弓離断症術後に重度の左肺動脈狭窄を合併した22q11.2欠失症候群の2例を経験した.左肺動脈狭窄に対し経皮的バルーン拡大術を行ったが,すぐにrecoilするため効果は乏しく,外科的に肺動脈形成術を施行した.CPAsの左肺動脈は起始部が大動脈弓に近く,形成後の大動脈弓による圧迫や,肺動脈周囲の形態変化に伴う捻れにより,狭窄を生じやすいと考えられた.CPAsを合併した大動脈弓離断症では,術後合併症として左肺動脈狭窄を念頭に置く必要がある.
  • 渕上 泰, 坂本 貴彦, 小坂 由道, 島田 勝利, 安河内 聰, 瀧聞 浄宏, 田澤 星一, 原田 順和
    専門分野: Case Report
    2015 年 31 巻 5 号 p. 284-287
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/12/04
    ジャーナル オープンアクセス
    内臓心房錯位症候群を除き,総肺静脈還流異常症(TAPVC)に心室中隔欠損症(VSD)が合併することは比較的稀である.術前診断を怠った場合は極めて術後管理に難渋する.術前診断の有無は極めて重要であり,今回,異なった経過を呈した2症例を報告する.
Editorial Comments
feedback
Top