日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
乳児期に診断し長期経過観察しているUhl病の一例
森 琢磨河内 文江細谷 通靖菅本 健司菱谷 隆星野 健司小川 潔井田 博幸
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2016 年 32 巻 1 号 p. 56-61

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抄録
Uhl病は右室心筋の部分的あるいは完全な欠如によって,羊皮紙様の菲薄化を伴う著明に拡張した右室を特徴とする原因不明の疾患である.Uhl病の多くは乳幼児期に発症し,そのほとんどは成人期に達することはないとされている.今回,乳児期にUhl病と診断し,無症状で18年間長期経過観察している一例を報告する.2ヶ月時の心臓超音波検査でUhl病と診断し,6歳時に施行した心血管造影検査にて著明に拡大した右室を認めた.12歳時に施行したMRIでは右室自由壁は菲薄化し,右室拡大は増悪していた.15歳時のMRIでは右室拡大はさらに増悪し,経時的に右室は拡大傾向を示していたが,右心不全症状を呈することなく(NYHA I),良好な経過を示している.Uhl病の自然歴を把握するうえで重要な一例と思われる.
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© 2016 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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