日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
小児期に発症し重篤な左心不全症状を呈した不整脈原性右室心筋症の一例
森 浩輝清水 美妃子豊原 啓子稲井 慶島田 光代古谷 喜幸吉澤 佐恵子宇都 健太西川 俊朗池田 健太郎中西 敏雄
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2016 年 32 巻 2 号 p. 171-178

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抄録

不整脈原性右室心筋症(ARVC)は若年での発症は稀とされている遺伝性心筋症である.今回我々はARVCを発症し重症心不全のため心臓移植を要した小児例を経験したので報告する.学校心臓病検診で心室性期外収縮を指摘された9歳男児.精査の結果,不整脈原性右室心筋症と診断された.心臓MRIでは右心室の拡大,収縮能低下に加え,左心室でも拡大と収縮能低下が顕著であった.心不全症状の進行によりカテコラミン離脱困難であったため同種心臓移植の適応と判断され,初診から約18か月の経過で心移植に至った.Desmoglein 2(DSG2; c.1481 A>C: p.Asp494Ala)とtransmembrane 43(TMEM43; c.601G>A: p.Asp201Asn)の2つの不整脈原性右室心筋症の原因遺伝子に変異を認めたことから,これらの変異の重複が早期発症,重症化の原因となった可能性があると考えられた.

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© 2016 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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