日本小児循環器学会雑誌
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フォンタン術後患者のQOL向上をめざして:経時的な病態観察から学ぶ
大内 秀雄
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 32 巻 2 号 p. 141-153

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抄録
フォンタン手術は単心室循環患者のQOLや生命予後を著しく改善したが,その術後病態は極めて多様で,他の先天性心疾患患者術後に比べ予期しない入院や死亡の頻度は依然として高い.最近の医療の進歩によりフォンタン手術の成績が格段に改善したが,術後遠隔期の高い臨床事故予防や軽減に向けた治療管理戦略がほとんど確立できていない.その高頻度の事故の背景には特異な循環の病態把握がいまだ不十分であることに加え,この特異な循環不全病態の長期予後(一生)の全容が不明である現状がある.我々の施設ではフォンタン術後患者の長期予後改善を目指し,定期的な血行動態評価,心肺運動負荷試験,さらには糖代謝や肝腎機能評価といった総合的な評価を継続している.これらの試みで,心血管機能に加え,多臓器機能を含めたフォンタン病態が徐々に明らかとなりつつある.しかし,一方で様々な新たな病態が明らかになっている現状がある.
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© 2016 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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