抄録
小児循環器専門医に必要な小児循環器領域の身体診察(Physical examination)の位置づけおよび身体所見(Physical findings)のポイントについて解説する.身体診察の位置づけとして重要な点は,1)問診,2)身体診察,3)検体検査,4)画像検査の4つの診断手段から病態モデル(診療仮説)を作成することである.得られた病態モデル(診療仮説)から再度所見を説明する.身体診察に必要な基本的事項として,心周期,3つの主要な心拡大の要因(短絡,弁逆流,心筋障害),心臓の位置を理解しておくと身体診察が進めやすくなる.さらに,身体所見を心血管系の大きさや内圧を推測するつもりで診察する.4つの心腔,4つの大血管の圧曲線や心腔の容積をイメージするように所見をとり,それをもとに診断を行い(診断仮説を作る),診断をもとにさらに身体所見を説明することが重要である.