日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
2回の肺静脈狭窄解除術を経てFontan型手術に到達し得た下心臓型総肺静脈還流異常を合併した単心室の1例
吉澤 康祐藤原 慶一大野 暢久坂崎 尚徳鷄内 伸二
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2016 年 32 巻 3 号 p. 215-220

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抄録

無脾症候群では多様な心奇形を呈する.そのほとんどが単心室であり,Fontan型手術を目標として治療を行うことが多いが,肺動脈,肺静脈の問題を合併することがあり予後が悪い.今回,下心臓型総肺静脈還流異常を合併した無脾症候群の低体重出生時に対する2回の肺静脈狭窄解除を経験した.生後8日2,097 gで初回手術(総肺静脈還流異常修復,BTシャント変法,PDA離断部肺動脈形成)を行った.肺静脈狭窄が進行し,外科的に肺静脈狭窄解除を行ったが,術後肺静脈再狭窄が進行した.そこでBTシャント変法追加による肺血流量の増加と外科的肺静脈狭窄の再解除を連続して行い,肺静脈血流の確保を計画した.その後,段階的に肺動脈形成を行うことで,Fontan型手術に到達した.計画的な肺血流の調整が肺静脈狭窄の進行予防と肺動脈発育に寄与したと考えられた.

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© 2016 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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