日本小児循環器学会雑誌
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Barth症候群
桃井 伸緒
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 32 巻 5 号 p. 409-416

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抄録

バース症候群はX連鎖性の疾患であり,心筋症,好中球減少,ミオパチー,成長障害,3-メチルグルタコンサン尿症を特徴とする.本疾患はXq28に存在するTAZ遺伝子の変異によって発症し,カルジオリピンの欠損とミトコンドリア機能異常をきたす.心筋疾患は,Barth症候群において最も多く認められる症状であり,拡張型心筋症と左室心筋緻密化障害が見られ,頻度は少ないが心内膜線維弾性症や肥大型心筋症が見られる.好中球減少やミオパチーなどの症状がなく,TAZ遺伝子異常が認められるX連鎖性の乳児心筋症が報告されており,これらはBarth症候群とallelicであると考えられている.本症候群による死亡の大半は心不全によるものであり,その多くは生後6か月以内に生じる.一方,治療に対する反応は良好であり,3歳以降は心機能が正常化する症例が多く見られる.不整脈が年長児で見られることがあるが,心機能が改善した5歳以降の予後は良好であることから,本症候群の表現型の多様性を理解し,早期診断と早期治療が重要である.

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© 2016 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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