2016 年 32 巻 5 号 p. 379-386
胎児の心機能評価は,出生後と異なり超音波による評価が唯一の方法である.心臓そのものの収縮能,拡張能は一般的に成人領域で心機能評価に用いられる方法が,胎児に応用されている.一方胎児特有の評価方法もある.多くは心機能の直接的な評価でなく,脳や胎盤などの循環障害の程度を評価し,胎児死亡などのリスクを判断する目的に,古くから産科領域で用いられてきたものである.両者をうまく使うことで,様々な病態を解釈し最適な娩出時期や予後予測が可能になることが望まれる.