日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
循環破綻を来すほど巨大な心臓横紋筋腫に対し,救命のためeverolimusを使用した1例
重光 祐輔馬場 健児近藤 麻衣子栗田 佳彦栄徳 隆裕福嶋 遥佑平井 健太吉本 順子鷲尾 洋介大月 審一
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2016 年 32 巻 5 号 p. 439-444

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抄録

巨大な心臓横紋筋腫合併結節性硬化症(tuberous sclerosis: TS)患児に対し,救命のためeverolimusを使用し,腫瘍の縮小と血行動態の改善を得た症例を経験した.胎児診断症例.横紋筋腫,上衣下結節,多発性網膜過誤腫を認めTSと診断.横紋筋腫は巨大であり,右室内に充満していた.出生直後は無治療で経過をみることができ,動脈管自然閉鎖に伴う循環動態の変化も明らかではなかった.しかし心不全が徐々に進行し,日齢11より挿管人工呼吸管理を含む集中治療を開始した.腫瘍による圧排がその原因と考えられた.手術による摘除も困難な状況下で,救命のために適応外ではあるが日齢19よりeverolimus投与を開始した.投与開始後20日程度で腫瘍断面積は1/2以下に縮小した.縮小に伴い心不全も徐々に改善し,日齢42には抜管が可能であった.日齢93に退院した.横紋筋腫に対するeverolimus使用の報告は稀ではあるが,本症例では有効と考えられた.

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© 2016 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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