日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
Melody valve留置術後9年目にvalve-in-valveを実施した一成人例
松裏 裕行直井 和之池原 聡高月 晋一中山 智孝原 英彦佐地 勉Farhouch Berdjis
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2016 年 32 巻 6 号 p. 527-533

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抄録

症例は米国籍の32歳男性で,息切れを主訴に来院した.米国で出生し完全大血管転位の診断でRastelli手術,2度の右室流出路再建術および胸郭形成術の既往がある.その後再び右室流出路狭窄が高度になったため,24歳の時ニューヨークでMelody valve留置術を受けた後に来日した.当院受診時,第三肋間胸骨左縁を最強点とするLevine 3度の収縮期駆出性雑音を聴取し,胸部単純X線では胸郭形成術の際に植え込まれた3枚の金属プレートを認めた.心エコーでは心室中隔の奇異性運動と圧排された左室を認め,右室–右房圧較差は55~60 mmHgであった.血漿hANPとBNPは各々54.1,54.7 pg/mLと軽度上昇していた.数度の手術歴から外科的右室流出路再建術は危険性が高いと考えたが,幸いロサンゼルスでvalve-in-valve法によるMelody valve再留置術を受けることができ,1ヶ月後に再度来院した.術前胸部単純X線正面像では明らかではなかったが,カテーテルインターベンション時にステント損傷が右室流出路再狭窄の原因であることが確認された.本邦においてもMelody valveの認可が待たれる.

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© 2016 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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