2017 年 33 巻 1 号 p. 24-35
小児心臓移植の予後は年代とともに改善傾向にあり,国際的には最近の5年生存率は約70%,日本人小児では90%を超えている.しかし,この短期的な予後改善は移植後急性期の生存率改善によるところが大きく,移植後の中長期的な罹病率や死亡率は必ずしも改善していない.したがって小児心臓移植後の遠隔期をいかに管理するかが重要な課題である.心臓移植後の長期的な管理において,免疫抑制療法と拒絶の管理を中心に,主たる移植後合併症である感染症,移植心冠動脈病変,腎機能障害,悪性腫瘍の監視と管理が重要である.加えて,小児においては,移植後の身体発育,精神運動発達,心理社会的機能の発達も重要であり,これらの評価と服薬アドヒアランスの問題を含めた移行期の管理が必要である.今後,多職種による総合的な移植後管理により,小児心臓移植後遠隔期の予後がさらに改善されることが望まれる.