2017 年 33 巻 2 号 p. 91-99
2010年7月,わが国の臓器の移植に関する法律が改正された.それにより,本人の同意なしに家族からの同意が得られれば,15歳未満の小児からの脳死下臓器提供も可能となった.それから6年が経ったが,15歳未満の小児における脳死下臓器提供は,12例にとどまっている.6歳未満からの脳死下臓器提供はそのうち6例である.なぜ,わが国では子どもの脳死下臓器提供が増えないのであろうか.オプション提示,虐待評価,施設体制整備,終末期医療の未熟さ,主治医への極端な負担の多さなどが問題として挙げられる.そして,これらの問題を解決するためには,なによりも小児科医の変化が求められている.すべての小児科医が関心を持って,議論に参加しなくてはいけない.