2017 年 33 巻 2 号 p. 163-168
背景:当院では乳幼児期に行う肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症(PA/VSD)の修復術において可能な限り後壁に自己組織を用いた右室流出路再建術(RVOTR)を施行している.
方法:対象は1996~2015年に3歳未満で修復術を行ったPA/VSD 18例.RVOTRにおいて後壁に自己組織を用いた12例(A群)とexpanded polytetrafluoroethylene導管を用いた6例(C群)に分けて再手術と再介入の回避率とその期間,術後肺動脈狭窄へのバルーン拡張術の効果について検討した.
結果:A群,C群の再手術回避率;5年72.7%,62.5%: 10年72.7%,0%,再介入回避率;1年63.6%,50.0%: 3年36.4%,16.7%であり,A群のほうが高い傾向を認めた[p=0.35, 0.16,ハザード比0.47, 0.47].バルーン拡張術はA群;10件12か所,C群;10件14か所で,右室圧/左室圧比の変化では有意差は認めなかったが,再手術のないA群の症例(6件8か所)では有意に低下していた[p=0.001].
結論:後壁に自己組織を使用するRVOTRは再手術時期を遅らせる可能性がある.