日本小児循環器学会雑誌
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原著
気管気管支軟化症を合併した先天性心疾患に対する早期心内修復術の重要性
松扉 真祐子鎌田 政博中川 直美石口 由希子森藤 祐次松本 祥美
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 33 巻 2 号 p. 169-176

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抄録

背景:気道圧排による呼吸障害を合併した先天性心疾患に対する治療は,現在,定まった指針がないため,適切な治療法,介入時期を明らかにするため検討を行った.

方法:2005年から2015年に経験した気管気管支軟化症を合併した先天性心疾患15例について,I群:肺動脈弁欠損群,II群:左右シャント群,III群:血管輪群の3群に分類し,後方視的検討を行った.

結果:心内修復術(ICR)または血管輪解除による気道圧迫解除を行った11例中9例(82%)は気道症状が改善し,ICR未施行4例は全例死亡した.手術月齢はI群2.8±3.0,II群6.0±3.4,III群7.8±3.9,術前待機月数はIII群4.0±1.6(平均±標準偏差)が最長であった.I群,II群では全例で術前呼吸管理が必要であった.染色体異常合併8例中4例(50%)は術後も気道症状が残存した.

結論:ICRまたは血管輪解除による気道圧迫解除が気道病変の改善に必要である.血管輪以外の疾患群ではより早期に外科治療が必要になる可能性があり,早期にICRを計画することが患児の予後改善につながる.

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© 2017 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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