日本小児循環器学会雑誌
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原著
日本人小児肺動脈性肺高血圧症患者に対するepoprostenol新規持続静注製剤の治験結果:有効性,安全性及び忍容性の検討
佐地 勉山田 修土井 庄三郎山岸 敬幸八田 基稔横山 由斉
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2018 年 34 巻 1 号 p. 30-38

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抄録

背景:小児肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者に対するepoprostenolの新規持続静注製剤の有効性,安全性及び忍容性を検討する目的で治験を実施した.

方法:本治験は,epoprostenol投与歴のない15歳未満の日本人小児PAH患者を対象とした前向き,多施設共同,非盲検,単群試験である.主要評価項目はベースライン値から12週後の肺血管抵抗係数(PVRI)の変化,副次評価項目は12週後の他の心肺血行動態指標及び48週間のWHO機能分類(WHO-FC),NT-pro BNP値等の変化とした.52週間の安全性も評価した.

結果:8歳,10歳,14歳の特発性PAHの男児3名が52週間,epoprostenol投与を受けた.開始時の投与速度は0.5~1.0 ng/kg/分であり,その後漸増し,投与52週時点の投与速度は24~41 ng/kg/分であった.PVRI変化量はそれぞれ−3.24, −2.59,及び−2.43 Wood U·m2であった.WHO-FCは,1名がFC IIIからFC IIへ改善し,2名はベースライン及び48週時のいずれもFC IIであった.投与中止,中断,減量に至る有害事象症例はなかった.

結論:日本人小児PAH患者3例に対するepoprostenol新規製剤持続静注療法により,全例にPVRIの低下とWHO-FCの改善または維持が認められた.投与中止例・中断例はなく,安全性と忍容性が示された.

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© 2018 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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