日本小児循環器学会雑誌
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原著
新生時期・乳児期早期における先天性心疾患術後声帯麻痺の検討
小林 弘信東 浩二村上 智明中島 弘道
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2018 年 34 巻 1 号 p. 13-21

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抄録

背景:心臓血管外科手術後の声帯麻痺はよく知られている合併症であるが,新生児期・乳児期早期での手術例における詳細な検討はなされていない.

方法:対象は2008年10月から2014年9月までの6年間に,千葉県こども病院において生後2か月未満に手術した先天性心疾患症例221例を対象に,症候化した術後声帯麻痺の合併率や危険因子,臨床像に関する単施設後ろ向き観察研究を行った.

結果:221症例中14例(6.3%)に術後声帯麻痺を合併し,単変量解析では術後挿管期間(p=0.008),大動脈修復術(p<0.0001),Rastelli手術(p=0.006),心室中隔欠損閉鎖術(p<0.0001)の4因子で有意に合併が多く,多変量解析では大動脈修復術が唯一の独立した危険因子あった(p=0.0005, OR 76.57, 95%CI 6.62–885.25).麻痺側は左側12例(86%),両側2例(14%)と左側に多く,声帯麻痺を合併した14例において,生存した13例中12例(92%)で臨床症状が改善した.

結論:新生児期・乳児期早期に大動脈修復術を要する症例では,術後声帯麻痺の合併は特に注意すべきである.

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© 2018 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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