日本小児循環器学会雑誌
Online ISSN : 2187-2988
Print ISSN : 0911-1794
ISSN-L : 0911-1794
症例報告
二期的に根治した右肺動脈上行大動脈起始症の2例
松田 健作帯刀 英樹長友 雄作平田 悠一郎永田 弾檜山 和弘大賀 正一塩瀬 明
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 34 巻 1 号 p. 46-51

詳細
抄録

右肺動脈上行大動脈起始症(anomalous origin of the right pulmonary artery from ascending aorta: AORPA)は生後すぐより心不全,呼吸不全を呈し,診断後早期に根治術を行うことが一般的である.今回我々は二期的に根治術を施行した2例を経験した.症例1は日齢25の女児で,RSウイルス肺炎,呼吸不全と診断され前医より紹介された.入院時の心臓超音波検査,造影CT検査でAORPAと診断した.RSウイルス感染症であり人工心肺の使用は危険性が高いため,日齢36に右肺動脈絞扼術を行った.RSウイルス肺炎の改善を待ち生後3か月時に根治術を施行した.術後経過は良好であり,術後58日目に退院となった.症例2は1か月の女児で,1か月検診で心雑音を指摘され,精査でAORPAと診断された.術前の心臓カテーテル検査にて肺血管抵抗>10 units·m2と高度肺高血圧(pulmonary hypertension: PH)を認めており,まず右肺動脈絞扼術を行い,その13日後に根治術を施行した.術後経過は良好であり,術後25日目に退院となった.一期的根治がハイリスクな症例には,二期的手術も治療選択として有用なオプションであった.

著者関連情報
© 2018 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top