日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
左単一冠動脈の拡張を伴い,SHOC2遺伝子異常が認められたNoonan症候群の1例
石川 伸行 堀米 仁志村上 卓高橋 実穂野崎 良寛林 立申塩野 淳子平松 祐司柳沢 裕美
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2019 年 35 巻 2 号 p. 127-131

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抄録

Noonan症候群はRAS/MAPK経路の遺伝子異常が原因となって発症する常染色体優性遺伝疾患で,臨床的には特徴的顔貌,低身長,先天性心疾患などを呈する.合併する心疾患としては肺動脈弁狭窄,心房中隔欠損症,肥大型心筋症がよく知られているが,稀な合併症として冠動脈拡張が報告されている.症例は新生児期に心室中隔欠損症と診断された.大動脈弁無冠尖・右冠尖逸脱に伴う大動脈弁逆流が進行し,4歳で心室中隔欠損症閉鎖術が行われた.11歳の心臓カテーテル検査で左単一冠動脈とその拡張が認められた.表現型からNoonan症候群が疑われ,16歳で行われた遺伝子検査で,SHOC2遺伝子変異が検出された.冠動脈拡張を伴うNoonan症候群は過去14例報告されているが,同変異を有するNoonan症候群で冠動脈拡張を合併した症例の報告は過去にない.冠動脈拡張を伴うNoonan症候群の報告例をまとめ,その臨床像について考察した.

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© 2019 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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