日本小児循環器学会雑誌
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小児心臓手術の麻酔管理
岩崎 達雄
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2019 年 35 巻 2 号 p. 82-90

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抄録

本稿では小児心臓手術の麻酔管理について概説した.前投薬としてはミダゾラムが頻用されているが,その投与量には病態に応じた十分な配慮が必要である.循環を良好に維持するにはできる限り循環抑制のない麻酔薬であるオピオイドを中心とした麻酔管理を行うとともに心仕事を増加させないように管理する.そのためには,先天性心疾患の特徴である短絡血流がある場合は,肺・体血管抵抗を操作し体・肺循環のバランスをとることが重要であるが,体血管抵抗の調整がより効果的である.小児の肺胞は特に麻酔時に虚脱を起こしやすく軽度の呼気終末陽圧の附加,肺胞リクルートメントがその治療・予防に有効である.成人で肺保護に有効であるとされる低一回換気量の小児の肺への効果は定かでない.近赤外線脳酸素モニターは脳酸素需給バランスの破綻の早期発見に有用であるのみならず,循環管理の指標としても重要である.経食道心エコーも手術の評価や循環動態の把握に非常に有用であるが,非侵襲的であることに留意する.

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© 2019 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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