日本小児循環器学会雑誌
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原著
Fontan導管への経皮的穿刺・開窓術の方法とその臨床効果
田邊 雄大 金 成海石垣 瑞彦佐藤 慶介芳本 潤満下 紀恵新居 正基田中 靖彦
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2021 年 37 巻 2 号 p. 106-116

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抄録

背景:単心室疾患の治療成績が上昇し,Fontan患者は年々増加している.しかし,Fontan術後に不整脈やfailing Fontan状態などの様々な遠隔期合併症に苦しむ患者も多い.このような問題に対するカテーテル治療として,Fontan導管への経皮的穿刺・開窓術(transcatheter puncture and fenestration: TPF)を行うことがあるが,その効果・合併症についての報告は少ない.

方法:当院にてTPFを行った7症例(9件)を対象として,カテーテル治療の効果・合併症について後方視的に検討した.

結果:全9件のカテーテル治療の適応の内訳は,不整脈が4症例(5件),鋳型気管支炎(plastic bronchitis: PB)が3症例(3件),蛋白漏出性胃腸症(protein-losing enteropathy: PLE)が1症例(1件)であった.PBとPLEの症例は開窓部分にステント留置を行い,3/4件で静脈圧が低下した.不整脈に対するアブレーションは5/5件で成功した.総カテーテル時間(中央値)は243分(194~420分)と長時間であった.

結論:TPFは開心術を要さずに,Fontan術後の問題を解決しうる治療方法であり,Fontan患者の予後改善に寄与する可能性がある.

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