2021 年 37 巻 3 号 p. 208-214
背景:先天性心疾患は,成人期に心不全で死亡する患者が増加している.慢性心不全の緩和ケアが重要視されてきているが,若年での心不全緩和ケアの報告は少ない.
方法:2000年から2020年に当院で死亡した10歳以上の小児心疾患患者のうち心不全死の7症例を対象とした.心不全死の頻度,患者の背景,終末期症状,各薬物使用状況,人工呼吸器の使用,多職種カンファレンス,本人告知,心理士介入について後方視的に検討した.
結果:心不全での死亡時年齢は中央値15歳(10~24歳).多職種カンファレンスは2例(29%),本人告知は1例であった.鎮静薬は5例(71%)で使用されていたが,経口挿管患者以外のオピオイド使用は0%であった.呼吸困難はほぼ全例で認めた.
結論:心不全のコントロールだけでなく,疼痛や精神的な症状に対する緩和ケアを行うために,多職種連携を行った緩和医療体制の確立が必要である.