日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
心原性失神とてんかんの鑑別に植込み型心電図モニタが有用であった1女児例
乃木田 正俊福永 英生池野 充細野 優若月 寿子松井 こと子原田 真菜古川 岳史高橋 健稀代 雅彦関田 学清水 俊明
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2021 年 37 巻 4 号 p. 312-317

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抄録

症例は14歳の女児で,繰り返す活動時の一過性意識障害(transient loss of consciousness: T-LOC)を主訴に来院した.脳波検査所見は右頭頂部から側頭部に棘徐波を認め,てんかん疑いでlamotrigineを開始したが改善がなく,さらなる精査を行った.心臓電気生理学的検査に異常はなかった.心臓CT検査にてinterarterial(壁内走行を伴わず大動脈と肺動脈の間を走行する)の右冠動脈起始異常を認めたが,運動負荷試験で心筋虚血を示す所見がなかった.脳波所見は非典型的所見であり,てんかん発作には稀な活動時のT-LOCが見られたことから,心原性失神とてんかんの鑑別が困難であり植込み型心臓モニタ(insertable cardiac monitor: ICM)の植込みを実施した.ICM植込み後にT-LOCを認めた際の記録では,不整脈はなく,けいれん発作を疑う筋電図の混入を認めた.この結果と発作時の様子を合わせて焦点性起始両側強直間代性発作(FBTCS)によるT-LOCと診断し,lacosamideの併用により症状は軽快した.鑑別が困難なT-LOCでは,小児であってもICMの活用が有効である.

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© 2021 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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