2022 年 38 巻 1 号 p. 3-14
小児診療においては,一般小児科医であっても先天性心疾患(CHD)や小児の循環評価に携わらなければならない場面にしばしば遭遇する.循環の役割は肺で取り込まれた酸素を身体の各臓器に必要なだけ届けることであり,そのための心拍出量を保つことである.心内や大血管の間で短絡がある場合は,心室以降は肺体血管抵抗の違いによって,心房間では両心室のコンプライアンスの違いによって短絡方向・量が規定される.種々のCHD管理を考えるうえでは,肺血流が増多する疾患か減少する疾患かに分類するとシンプルでわかりやすい.一般小児科医が未診断のCHD患者に出会ったときには,最低限,酸素投与を行ってよいか,なるべくしないほうがよいか,動脈管開存が必要な疾患か否かを判断する必要がある.小児の循環動態を評価するためにはもちろん詳細な問診や身体診察が重要であり,また心臓超音波検査は簡便で有益な所見を得られるツールであるが,他のモダリティもあわせて総合的に判断することが求められる.