2022 年 38 巻 2 号 p. 105-114
背景・目的:近年,先天性心疾患(CHD)患者の多くが成人を迎えることが可能となり,増加する成人CHD(ACHD)女性の結婚,妊娠・出産に関する認識を検討した.
方法: ACHD女性307名(20~49歳)へ心疾患と結婚・妊娠・出産に関する質問紙調査を行い,対象者を身体障害者手帳1級取得者と非取得者に分けて比較した.
結果:回答した取得者53名,非取得者36名の89名(有効回答率29.0%)を対象とした.既婚者は取得者に多く,結婚の希望は非取得者に多い傾向があり,両群共に80%が「妊娠・出産による心臓の負担」「妊娠前検査の必要性」を認識していた.取得者は,「治療薬の胎児への影響」「心疾患の胎児への遺伝」の認識が高かった.
結論:ACHD女性は,妊娠・出産による心臓への負担を認識していても,その願望は高く,看護職者や医師が連携して心疾患重症度に応じて妊娠可能性やリスクについて早期からの啓発や継続支援が必要である.