2022 年 38 巻 2 号 p. 117-125
背景:在宅で生活する乳幼児期の先天性心疾患児は,計画外に入院することがある.計画外入院を防ぐ支援を検討するためには,原因を明らかにする必要があると考え,患児数や原因などの実態を調査した.
方法:A病院で5年間に入院歴のある乳幼児期の先天性心疾患児のDPCと診療記録を対象にデータ収集し分析を行った.
結果:乳幼児期の先天性心疾患児の35.4%が計画外入院を要した.そのうち,0歳児は31.7%と有意に多く,染色体異常を合併する患児が多かった.主な原因は,肺炎や気管支炎などの呼吸器合併症,心不全,SpO2低下やチアノーゼ,低酸素血症などを含む呼吸状態の悪化であった.在宅酸素療法は50.3%,在宅人工呼吸療法は7.9%,在宅経管栄養療法は26.0%で使用していた.
結論:先天性心疾患児の計画外入院は,0歳児が最も多く,先天性心疾患による体肺循環の障害に加え,呼吸機能と循環機能の未発達さや脆弱性による影響があった.計画外入院を防ぐためには,病院から在宅と切れ目のない支援,訪問看護などの医療職の支援が必要である.