2022 年 38 巻 2 号 p. 128-139
背景:チアノーゼ性成人先天性心疾患の中で頻度の高いファロー四徴症において社会的自立や生活習慣を調査し保健指導の基盤を得ることを目的とした.
方法:186名に質問紙調査(病気や治療に関する理解や不安,社会的自立,生活習慣等)を行い,身体障害者手帳認定の有無で比較した.臨床情報は診療録より抽出した.
結果:有効回答者112名(男41名,平均28歳)の半数が親と同居し,学生を除いた93名の83%が就労していた.71%が病気に対する不安をもち,28%は睡眠満足度が低かった.職種では非認定群は専門職が多いが,認定群では事務職が多かった.認定群の医療へのアクセスは高かったが,就労内容や周囲の理解などに不安を持っており習慣飲酒,睡眠導入剤の使用も多い傾向がみられた.
結論:本対象者は比較的高い就労率で社会的自立度も高かったが,様々な不安を抱えており特に心疾患重症度の高い認定群は不安や睡眠障害に対する支援の必要性が示唆された.