2023 年 39 巻 3 号 p. 161-168
小児の重症心不全に対する補助循環としては大きく分けて1)体外式膜型人工肺(ECMO),2)体外型補助人工心臓,3)植込み型補助人工心臓がある.このうち,ECMOは一般的には1か月程度の補助が限界であるが,補助人工心臓ではより長期の補助が可能である.小児用体外型補助人工心臓EXCOR® Pediatricは体重3 kg程度の新生児から使用可能であり,主に心臓移植までのブリッジとして使用される.体格の比較的大きな小児では植込み型補助人工心臓が適応になることもあり,退院しての通学なども可能である.また,日本においては,先天性心疾患に対する心臓移植はまだ非常に少なく2022年までで10例未満にすぎず,待機患者の割合も全体の4%程度であるが,米国では,心臓移植の10%程度が先天性心疾患であり,特に5歳以下においては半分程度を占めている.今後先天性心疾患に対する補助人工心臓・移植の需要は増えてくると思われ,これらに対する治療戦略も重要になってくると思われる.