2023 年 39 巻 3 号 p. 153-160
心臓外科手術の発展のなかで,大動脈弁疾患においてもさまざまな術式が提唱され,施行されてきた.それでもなお,現在行われている方法は,おしなべて一定の限界を持っており,それ故われわれは,常に新しい選択肢を模索し続けている.とくに小児ではより一層大きな課題で,大動脈弁手術を行うにあたり,さまざまな選択肢のリスクとベネフィットは,依然として議論の的になっている.こうしたなか,OZAKI法は自己心膜を用いて大動脈弁尖を再建する術式で,高い再現性をもって大動脈弁の再建を可能にする.この方法は,大動脈の各弁尖をそれぞれ独立して再建することを特徴とし,弁尖の自然な動態の再現が意図されている.児にとって大動脈弁疾患は生涯の問題であり,長期にわたる治療戦略を描く必要がある.本稿では,成長過程にある小児においても,OZAKI法は選択肢の一つであることを提案したい.