2024 年 40 巻 1 号 p. 9-16
川崎病は小児期に好発する急性全身性血管炎症候群であるが,冠動脈合併症以外の全身性血管炎の長期遠隔期の影響については不明な点が多い.はたして川崎病の既往は,将来的な動脈硬化など血管合併症のリスク因子になるのだろうか? 残念ながらこの問いに答えられる十分なエビデンスは存在しない.しかし筆者は,自身がこれまでに行ってきた血管と炎症に関する研究の経験をもとに,これまでに川崎病血管炎に関連して蓄積された研究成果の意義と研究手法の限界について検討し,次世代の研究者へ少しでも新たな視座を与えられるように願って解説を試みた.