2024 年 40 巻 1 号 p. 17-26
成人先天性心疾患に対するカテーテル治療は急速に進歩している.成人先天性心疾患診療の必要性が叫ばれて久しく,カテーテル治療も成人例の治療数が増加傾向となっている.先天性心疾患患者には,成人期に発見されて治療が必要になった患者も存在するが,幼少期の外科手術後に再治療が必要となった患者も多い.成人先天性心疾患診療において,エビデンスが確立された薬物治療が十分に存在せず,多くが構造的異常によるため,外科手術を含めた侵襲的介入が主な治療法となる.再治療においては,再度の開胸手術を回避するべくカテーテル治療が望まれる例が多く存在し,重要な治療選択肢になると考えておりここに寄稿する.本稿では,主に成人期に行われるカテーテル治療に関して,これまでに日本で多くの経験数があるものから,近年治療がスタートした経カテーテル肺動脈弁留置術について,また上位静脈洞型心房中隔欠損症に対するカテーテル治療など筆者が実際に海外で経験し,今後日本に導入が期待される治療まで幅広く紹介する.