2024 年 40 巻 2 号 p. 71-81
心筋症とは,心機能障害を伴う心筋疾患と定義され,原因はしばしば遺伝性である.小児の心筋症では様々な遺伝子に様々な変異があり,遺伝的多様性が特徴である.遺伝形式も常染色体顕性,常染色体潜性,X連鎖性,ミトコンドリア性と様々である.遺伝性心筋症の特徴として,同一遺伝子内の異なる変異は異なる病型を示すこと,遺伝子変異の多くが稀で同一のホットスポットや変異を有することは稀であること,同一の家族内でも様々な浸透率を示すことが挙げられる.また,同一の遺伝子変異を有していたとしても,臨床経過,転帰は同一家族内でも様々である.家族を含めた遺伝学的検査を行うことが重要であり,遺伝学的背景を念頭においた包括的な診療が不可欠である.