2024 年 40 巻 2 号 p. 82-90
小児期発症の特発性心筋症は比較的稀な疾患であるが,小児循環器専門医にとってはその診断と治療に関して十分な知識を備えておくべき疾患である.本総説では,2023年7月8日に開催された日本小児循環器学会第20回教育セミナーベーシックコースでの発表内容をもとに,小児心不全に対する薬物療法の基礎および最近の進歩について総論として紹介し,各論として拡張型心筋症,肥大型心筋症,拘束型心筋症について,その診断に関連する主な臨床検査と治療について概説する.最後に,日本および当院における小児心臓移植医療の現状について簡単に紹介する.